靴の豆知識voice
安全靴のはなし

工事現場での必需品は「ヘルメット」「安全帯」「安全靴」です。朝の朝礼後に行われる安全確認は2人もしくは3人が向き合って指を指しながら「ヘルメットよーし!」「安全帯よーし!」「安全靴よーし!」と声を出しながら確認します。最近の工事現場は歩行者の安全のために塀を作って作業するので見えませんが、8時頃付近を通ると声が聞こえてくると思います。ちなみに、安全帯と言うのは昔だと命綱と言われ、高い場所で作業するときに単管と呼ばれる足場パイプや親綱と呼ばれる太いロープにフックを引っ掛けておき、万一足を滑らせても、地面に落ちるのを防止する用具です。
安全靴は何が安全なのか
さて本題の安全靴ですが、安全靴の主な目的は靴のつま先や甲の部分に重いものが載っても足がつぶれない様に保護するものです。
このため、安全靴には先芯と呼ばれる金属や耐圧合成樹脂で作られたカップと呼ばれる保護部品が入っています。
販売されている安全靴や安全靴のカタログを見ると「先鉄芯」とか「樹脂芯」とか書かれているので区別できますが、「先鉄芯」の安全靴は「樹脂芯」の安全靴より重くなる傾向がありますが、足を保護する部分が金属の為安全性は高くなります。
また、作業する場所によっては「樹脂芯」の安全靴でなく「先鉄芯」の安全靴が指定されるところもあります。
安全スニーカー
作業着ショップやホームセンターに安全靴を買いに行ったことのある方は安全靴と並んで安全スニーカーという靴が販売されているのを目にしたことがあると思います。
安全靴が黒の本革で出来ているのに対して安全スニーカーは一般のスニーカーなどど同じ合成皮革で出来ていて外見も普通のスニーカーと同じになっています。
これは、見た目だけでなく履き心地が安全靴とは比べられないくらい自然なため、しゃがんだり足首を曲げる姿勢で作業するのが楽になるためです。
また、歩き回る作業や商品の積み下ろしを作業でも足首に負担が少なく、靴自体が軽いため疲労を軽減することができます。
また、電気工事などで家庭の中に上がる必要がある場合や営業中のショップングモール内で作業する場合、黒くてゴツイ編み上げの安全靴は威圧感があるため」、安全靴を見慣れていない主婦や子供さんにプレッシャーを与えるのを避けるためという理由もあります。
解体作業をするには踏み抜き防止対策
工事現場では「俺の安全靴鉄板入っているんだ」という会話を聞くことがあります。
これは安全靴の足を保護する部分が樹脂ではなく金属製であることをいう場合もありますが、多くの場合は靴のつま先部分の金属以外に靴底部分に鉄板やステンレス板が入っているいることを言います。
ガソリンスタンで足をタイヤで踏まれる危険や、工事現場で足の上に材料を置いたり、材料が倒れてきたときに足を保護する安全靴の靴底になぜ対策がされているかと思う方もいるでしょう。
これは、建物の解体作業などをするときにベニヤ板を踏んだら下にあった木材から出ていた釘がベニヤ板から飛び出してきて靴底を貫通して足に刺さったり、鋭いガラスの破片で丈夫なはずの安全靴の靴底が切れたりすることがあります。
このため、安全靴の靴底に金属を入れたり、後から「ステンレス製の中敷き」を入れるなどして、安全対策を強化しているのです。
安全靴のバリエーション
安全靴はその名の通りつま先を保護するだけでなく、使う場所によって足を保護するその他の条件が求められます。
例えば、道路舗装や製鉄所では熱いタールや銑鉄から足を保護するために本体が耐熱の本革製で靴底も耐熱性のものが必須になります。
また、油を使う場所では靴底が油や薬品で溶けない耐油性や油のこぼれた床を歩いた時に滑らない防滑性の靴底が求められます。
ここまで読まれた方は幸せと安全靴に関係があるのかと思う方も多いことでしょう。
これは2011年の大地震以来、多くの会社では非常時に帰宅する際の安全対策として、ヘルメットや飲料水、歩きやすい靴などを会社に備えるようになってきました。
会社の立地や業種によりますが、普通のスニーカーではなく安全スニーカーや安全靴を用意している会社もかなり増えているのです。
幸せな生活は健康や安全あってのものですので、災害時に備えて安全靴を用意するのは当然のことです。