靴の豆知識voice
ビジネスの第一歩は面接に通る靴
数年前に流行ったある恋愛ドラマではエンディングのテーマソングに合わせて出演者が躍るダンスシーンが話題になりました。また、その曲のプロモーションビデオのダンスシーンも話題になり、自分たちがそのダンスを踊る様子をビデオにしてネットにUPする方も大勢いました。
サドルシューズは伝統的だが面接では役に立たない
その話題になったプロモーションビデオでドラマの主役も張った歌手の方が履いていた靴は黒と白のコンビの靴、さらに言えば靴の中心部分の色が前後と異なって、馬の鞍のようになったサドルシューズと言う靴です。
この靴は形式で分けると、紐で結ぶ外羽根式のプレーントウシューズで伝統的なスタイルです。
昔からダンスシーンによく登場する靴ですが、伝統的なスタイルであっても冠婚葬祭などのフォーマルな場所への出席やビジネスシーンで履く靴ではありません。
ビジネスシーンで最も最初に訪れる場面は、ビジネスが始まる以前、会社に入る時の面接では無いでしょうか。
面接で不利になる靴
面接に臨む学生さん達の多くはスーツを用意しますが、靴までは用意が回らないことがあります。
面接する側の人は人事のスタッフであったり、ときには社長であったりと様々なポジションの人がいてそれぞれ採否のポイントが異なるわけですが、多くの人は身なりに重点を置いています。
先ずは、社会や会社の決まり事に従えるかどうかを、オーソドックスな服装をしているかどうかで確認します。
この時の服装には当然靴も入ります。
まさかグレイスーツに茶系統の靴を履いて行く人はいないでしょうが、黒の革靴でも極端に先の尖った靴や装飾の多いものはアウトです。
スーツで言うならイタリアンタイプのピンストライプのスーツが不利になるのと似ているかもしれません。
このような面接の基準は安定した大企業ほど顕著です。
半面、振興業種や中小零細企業ではアウトになることは少ないのですが、得になることはありません。
基本中の基本は黒のストレートチップ
男性なら必ず一足は持っていなければならない靴というのがあります。
その靴は内羽根式の黒のストレートチップです。
ビジネスシーンで黒い靴は常識ですが、それには理由があります。
ビジネスでは多くの人と会ったり様々な場所で出向くことがあります。
出かけた先が祝いの席や法事の場であることも珍しくありません。
このような時、祝いの席はまだしも法事では黒の飾りのない靴をはいていくのがマナーです。
飾りには金属のバックルは言うに及ばず房飾りやタッセルも含まれます。
つまり黒でもベルトの付いたブッチャーシューズやスリッポンタイプのタッセルローファーもマナー違反になります。
黒でもエナメルでピカピカに光った靴もいけません。
エナメルの靴は昔、社交界でダンスをするときに靴に塗った靴墨がドレスの裾について汚れるのを防ぐために、靴墨を塗らなくていいように靴の外側をエナメルで加工したことから始まったもので、パーティーなどの祝いの席用の靴なのです。
ちなみに、公式の席でモーニングやイブニングを着るときはエナメルの靴です。
靴探しは服探しより時間がかかる理由
服装や靴について大学では就職課などでレクチャーをすることが多いのですが、靴はスーツの着心地以上に履き心地は重要なので、急いで探してサイズが合わないと面接で足を引きずるようなことになったり、足の痛みに耐えかねて面接でしかめっ面をしていることになり、せっかくマナーに合った靴を履いていても本末転倒になってしまいます。
実は、エナメル仕上げでは無い、「黒の内羽根式のストレートチップの靴」を探すのはなかなか大変なのです。
定番中の定番だけに多くのメーカーが作っていますが、その中には接着だけで仕上げた形だけの靴も多く、このような靴は縫って仕上げた靴に比べて履き心地が悪いだけでなく、つま先が曲がりにくいので歩くと疲れやすいのです。
しかし、革製の縫って仕上げた履きやすい「黒の内羽根式のストレートチップの靴」はスーツと同じかそれ以上の値段がします。
面接の前に予算を取るだけでなく、できれば1年くらいかけて履き慣らしと歩き方の練習をすることをおすすめします。
なお、歩き方については別のページで紹介していますのでそちらもお読みください。
