靴の豆知識voice
靴から納豆のニオイが出る理由

納豆は大豆を発酵させた食品んで、血液をサラサラにするナットウキナーゼというタンパク質分解酵素を含んだ健康食品としても知られています。
納豆は世界臭い食べ物ランキング常連
ところが、この納豆には独特の臭いがあるため、嫌いだという人も多く、興味本位で注文した外国人が途方に暮れている姿を見ることも稀ではありません。
それもそのはず、納豆は世界の臭い食べ物で平均して7位、評価する国の違いがあってもベスト(ワースト)10には必ずランクインする臭い食べ物なのです。
日本人にとっては「朝ごはんのにおい」である納豆は多くの外国人にとっては、嫌なニオイを出しているトンデモナイ食べ物なのです。
納豆のニオイを出す細菌
納豆は大豆を納豆菌で発酵させて作りますが、発酵時に納豆菌特有の臭気がでます。
この納豆菌が出すニオイは何と68種類の成分からなっています。
中でも、代表的ニオイはビラジンとジアセチルとアンモニアの三成分です。
これらのニオイを出す納豆菌は、学問上はBacillus subtilis var. natto(バチルス・サブティリス バー・ナット)とよばれています。
靴のニオイが納豆と似ているのは
さて、靴のニオイは幾つかの細菌が原因であることが分かっていますが、その原因菌の一つに、枯草菌(こそうきん)という細菌があります。
実はこの枯草菌は学問上Bacillus subtilis(バチルス・サブティリス)と呼ばれていて、その名前からも分かるように納豆菌の仲間です。正確に言うならば、枯草菌には多くの種類があり、納豆菌はその一つなのです。
つまり枯草菌は納豆菌の親分なのですから、似たニオイを発生させるのは当然なのです。
大豆の代わりは足の垢
納豆のニオイは納豆菌が大豆を発酵させることで発生しますが、靴の中に大豆はありません。
靴の中で枯草菌がニオイを発生させる元となるのは、足の角質や皮脂、つまり足の垢が原料となっているのです。
こう言うと、自分は毎日足を洗っているのに足がクサイという方がいるかも知れません。人間の皮膚の新陳代謝は表皮の一番下層の基底層で休むことなく作られていて、それが有棘層から顆粒層へなり、さらには一番外側の角質層となるため、古くなった角質層である垢も休むことなくどんどん作られているのです。
つまり、枯草菌が靴の中にあるかぎり、靴を履く前に足を洗って角質層を落としても、靴を履いて歩いている間にどんどん角質層も垢も出来てくるのです。
とてもしぶとい枯草菌
枯草菌はその名の通り土や植物、枯草など至る所にあり、空気中にも漂っているため、靴の中にも自然に入ってきます。
湿度や温度が良い塩梅だと活動しますが、厳しい条件になるとカメが手足を引っ込めて防御するように通常の細胞から「芽胞(がほう)」という温度や湿度に対性を持った特殊な細胞になります。
この「芽胞」は細胞が通常の活動をして生存できない状態の100度を超える高温や極度の乾燥状態になったときに変化するもので、通常の分裂など細胞としての活動を停止しますが、再び生存できる環境になると細胞に戻って活動するゾンビのようにやっかいなものです。
このため、靴を乾燥させただけでは、ニオイを出すのを一時的に停止するだけで、再び靴を履いて靴の中の温度と湿度が高まり、枯草菌に適した状態になると、芽胞は枯草菌に戻り、活動を再開するため、靴は再びクサくなるのです。